本場大島紬になくてはならない、絣(かすり)。中でも蚊絣(かがすり)とは経(たて)と緯(よこ)の糸が重なった十の字やTの字になっているところのことを指します。また、緯糸(よこいと)だけで柄を構成する緯絣(よこがすり)もあります。織る糸にはすでに柄となる色が筵(むしろ)の状態で染色されていて、それを丁寧に1本ずつ交互に織り上げる平織りという織り方で、絣の集合を模様として見せています。 織り上げた模様に裏表がない美しさも本場大島紬の特徴です。着物一着分1240cmになるまで延々と織りつづけます。 熟練された高度の技術を要する作品は、1日に30~40cm程度で、着物1枚に必要な布地1反を織り上げるまでおよそ1ヶ月以上かかります。
※画像:「絣(かすり)締め作業:図案に従い、絣模様となる部分にタテの木綿糸を並べて通し、糊張りした絹糸を織りこんで筵状(むしろじょう)に織り、絣筵(かすりむしろ)を作っているところの写真になります」